光触媒や無光触媒コーティングは本当に抗菌効果があるか?施工会社は怪しくないの?
新型コロナウイルス禍で、除菌は当たり前になっていますが、抗菌が注目されました。 そこには、50年前から密かに話題となっていた光触媒があります。
抗菌として光触媒や無光触媒によるコーティング施工が人気をよんでいます。それらは、本当に抗菌効果はあるのでしょうか?
光触媒・無光触媒による抗菌効果
光触媒や無光触媒によるコーティングは、施工対象物(壁やテーブル、椅子、ドアノブなどのモノ)に対して一定の抗菌効果があるとされていますが、その効果にはいくつかの制限があります。
光触媒は、紫外線を照射することで活性酸素を発生させ、有機物や微生物を酸化分解することができますが、照射時間や光の強さによっては効果が限定されることがあります。
また、無光触媒は、物質表面に薄い被膜を形成することで、表面に付着した有機物や微生物を分解する力を持っていますが、完全に除菌することはできません。
さらに、コーティング剤の種類や施工方法によっても、抗菌効果に差が出ることがあります。
また、コーティング対象物の材質とコーティング剤のバインダーにより、付着の耐久性(コーティング剤が剥がれるかどうか)に差が出てしまいます。
適切な剤種や施工方法がされていない場合、効果が期待できなくなります。このへんが、一番難しく、施工会社選びにかかってきます。
つまり、光触媒や無光触媒によるコーティングは、一定程度の抗菌効果が期待できるものの、完全な抗菌効果を発揮するわけではありません。効果が持続する期間も限られているため、定期的なメンテナンスが必要となります。 あくまで補助的な役割を持ち、十分な衛生管理や消毒対策をすることが重要となってきます。
光触媒について
光触媒と無光触媒の違いは、励起光源が必要かどうかになります。
光触媒は、紫外線や可視光を照射することで活性酸素を発生させ、物質の分解や微生物の除菌を行う反応を促進する技術です。励起光源が必要なため、屋内空間や室内家具など、日光が十分に当たらない場所では効果が限られます。
光触媒の主成分は、チタン酸化物(酸化チタン)。紫外線を利用するタイプで、チタン酸化亜鉛を使用。可視光線を利用するタイプで、チタン酸化銀を使用。主に二種類のチタン酸化物が使用されます。酸化還元の触媒なので、チタン酸化物自身は消えることはなく、半永久的に機能します。
メリット
・微生物の除菌効果が高い。
・分解・除去できる物質の種類が多い。
・耐久性が高く、長期間効果を維持できる。(条件や施工方法により大きく異なる)
デメリット
・励起光源が必要なため、効果が日光の当たらない場所で限られる。
・除菌速度が遅い。
無効光触媒について
無光触媒は、物質表面に被膜を形成することで、微生物の付着を防ぐ抗菌効果があります。銀イオンや銅イオン、亜銀酸化物などの金属成分が主となります。これらの金属成分は、微生物の細胞膜にダメージを与え、微生物の増殖を抑制する効果があります。
また、シリカやゼオライトなどの吸着材を主成分とした無光触媒もあり、これらの材料は微粒子を吸着し、菌やウイルスの増殖を抑制する効果があります。
無光触媒は、励起光源が不要なため、屋内空間や室内家具など、日光が当たらない場所でも効果が期待できます。
メリット
・励起光源が不要なため、日光の当たらない場所でも効果が期待できる。
・銀イオンや亜鉛イオン、チタン酸エステルなどの材料を使用するため、効果が高い。
・光触媒より除菌速度は早いが、除菌剤と比べると遅い。
デメリット
・効果が完全なものではないため、定期的なメンテナンスが必要。
(条件や施工方法により大きく異なる)
・被膜の効果が薄い場合がある。
抗菌と除菌の違い
抗菌と除菌は、微生物に対するアプローチの違いにより異なります。
抗菌とは、微生物の増殖を抑制すること。つまり、抗菌加工を施したモノに微生物が付着しても、増殖が抑えられるため、抗菌効果が維持されます。しかし、抗菌効果が完全ではないため、一定時間経過後には微生物が繁殖する可能性があります。
一方、除菌とは、微生物を完全に殺菌すること。つまり、除菌されたモノには微生物が存在しないため、再度微生物が付着することはありません。除菌は、抗菌よりも強力な効果を持ちますが、一度除菌しただけでは、その後の微生物の付着を防ぐことはできません。
したがって、抗菌したモノに微生物が付着しても、定期的に清掃や消毒を行うことで微生物の繁殖を抑えることができます。また、除菌が必要な場合は、清掃や消毒の上、除菌剤を使用することで微生物を完全に殺菌することができます。
他に良いコーティング施工は?
光触媒や無光触媒のコーティングより良いコーティング施工はあるのか?
抗菌効果を持つコーティング施工には、いくつかの種類があります。代表的なものを紹介いたします。
銀イオンコーティング
銀イオンは微生物に対して強い抗菌効果があり、銀イオンを含んだ被膜を形成することにより、微生物の増殖を抑制する効果があります。銀イオンは微生物の細胞膜を破壊するため、高い抗菌効果が期待できます。
ゼオライトコーティング
微小な多孔質鉱物であるゼオライトを用いたコーティングです。ゼオライトは、微生物が繁殖するために必要な栄養素を吸着するため、微生物の増殖を抑制する効果があります。
高分子コーティング
高分子化合物を用いたコーティングです。高分子化合物には、微生物を破壊する作用があるものがあり、抗菌効果を持つことがあります。
ナノ粒子配合材料を使用したこーティング
ナノ粒子は微小な粒子で、微生物に対して強い殺菌力を持っています。ナノ粒子を含有した塗料や樹脂を使用することで、抗菌効果を高めることができます。
これらのコーティングには、それぞれの特性があり、適した用途が異なります。また、それぞれのコーティングにはメリット・デメリットがありますので、具体的な用途や条件に合わせて適切なものを選択する必要があります。あくまでも参考として紹介させていただきました。
施工会社は怪しくないの?
光触媒コーティング施工は、50年前から存在していますが、当初は施工技術や材料の品質に問題があり、いい加減な施工をする会社や業者も多かったとされています。また、光触媒自体の技術も未熟であったため、効果が期待できる製品は限られていました。
しかし、現在は技術が進歩し、品質の高い材料や施工技術が確立されています。特に、日本をはじめとする先進国では、光触媒コーティング施工に関する規格や検査方法が整備され、品質管理が徹底されています。また、施工会社も専門性を高め、顧客ニーズに合わせた提案やアフターサポートを行うことで、信頼性の高いサービスを提供していますので、怪しい施工会社は少なくなったと思います。
ただし、光触媒自体がほぼ透明であるため、施工したかどうかを見分けるのは難しいという問題は残っています。そのため、施工後の効果を確認するためには、定期的な検査やメンテナンスが必要です。また、施工前には信頼性の高い会社や業者を選ぶことも重要となります。
施工会社の選択は、コーティング剤を選ぶより、難しい思います。 信頼できるエビデンスを公開している○○シールドのコーティング剤も、依頼を受けて施工している業者のスキルに寄っては、抗菌効果の耐久性にかなり問題が発生していることでしょう。
最後に
光触媒や無光触媒コーティングによる抗菌効果をまとめると、
・除菌のように即効性はない
・効果が持続する期間も限られているため、定期的なメンテナンスが必要
・励起光源に影響を受ける光触媒は、抗菌効果を発揮できない時もある
・除菌出来ていないところや除菌を怠ってしまったところに効果アリ
・抗菌効果を持続させるのは、コーティング剤の付着の耐久性に影響。すなわち、施工会社選びに大きく依存する。
光触媒や無光触媒コーティングによる抗菌施工をしても、完全な抗菌効果を発揮できないといことである。あくまで、除菌の補助的な役割であるということである。
ここで、言いたいことがあります。
私は、数年間、某大手会社から信望を受け、有名施設での光触媒コーティング施工業務に関わってきました。訳あって今は私は退かせていただきました。
ただ、その施工依頼は今も継続していますので、信頼ある施工業者と自信を持っております。 そういうこともあり、このような記事を書かせていただきました。ただ、本記事は専門的な内容を端折ってあります。
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